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関 信浩が2002年から書き続けるブログ。ソーシャルメディア黎明期の日本や米国の話題を、元・記者という視点と、スタートアップ企業の経営者というインサイダーの立場を駆使して、さまざまな切り口で執筆しています

Connecting networksCNET Japanの「梅田望夫・英語で読むITトレンド」を読んでいたら、今日はソーシャル・ネットワーキングについて。特に後半に「FriendRank」というコンセプトの話が紹介されていて興味深かった。

CNET Japan: 梅田望夫・英語で読むITトレンド: ソーシャルネットワーキングがブレークするには

PageRankならぬFriendRankという発想
そしてたぶんいちばん面白かったのが、Jeremy Zawodny's blogの「FriendRank」である。タイトルからだいたい想像がつくかもしれないが、GoogleのPageRankに相当するFriendRankアルゴリズムとその実装が必要だという指摘だ。

私はこの発想をBlogのつながりに利用できないかな、と思っていて、もう1年ぐらい前に、半ばたわごとのように「Trusted Trackback」という形で実現できないか、と書いたことがある。

まだ、このFriendRankの記事を読んでいませんが、昔に書いたTrusted Trackbackの記事が英語なので、とりあえずそのときの考えを日本語にするところだけやっておこうと思う。

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このエントリーでは、Trackbackの仕組みが、人と人が紹介によって人の輪を広げていく過程を、ごく単純なモデルで考察してみた。ある起業家(E)が自分のビジネスプランをベンチャー・キャピタリスト(VC)に読んでもらいたいときに、どのようなロジックでVCにたどり着くか、というような考察である。

要はEとVCが直接の知り合いでなければ、Eは自分の知り合いの中で、VCを知っている人(A)を探し、その人に紹介してもらってVCに会う(ケースa)のだが、次の場合(ケースb:知り合いが起業家をあんまり買っていなくて、VCを紹介したくない場合、ケースc:VCが知り合いをあまり買っていない場合)は、失敗になってしまう。

これを "-->"を一方向の信頼性リンク、"<==>"を双方向の信頼性リンクとして模式図を書くと、

(a) 成功
E <==> A <==> VC
(b) 失敗(1)
E --> A <==> VC
(c) failure(2)
E <==> A --> VC

となる。ここでは信頼性リンクはデジタル(あるかないか)であるが、これをもっと幅広い人的ネットワークで適用しようとすると、関係をアナログ(段階的な数字)にしてやることが重要になってくるだろう(例えばGoogleのPageRankのように、10段階で重み付けする)。なぜ段階的にする必要があるかといえば、間に入る人の数が多くなったり、複数の紹介(リファレンス)があったときに、最終的な二者間の関係を数値化できるようになるので、「最終的にRankが6以上の人なら会う、5以下なら会わない」というようなルールの適用が簡単に出来るようになるからだ。

ただ、人と人との関係を、単純に一つの軸で数値化することは難しい。「私にとってAさんは信頼度7/10」と言っても、ブレークダウンすると、例えば「ビジネス上は6/10で、技術力は7/10、ラーメン屋の選定能力は10/10」という感じになっているはずだ。と言って、自分の知人一人ひとりに対して、何十項目とある評価軸で数値化するサーベイ方式では、事実上機能しないだろう。

そこでTrackbackの信頼度を使って、数値化するのはどうだろうか、という考えが出てきた。自分が誰かにTrackbackするときに「このTrackbackのRankは6/10」とかやっていけば、あとはTrackbackのデータを解析することで「このカテゴリーについて、AからBに対する信頼度は6.3/10」などというデータが抽出できるので、最初の例にあるベンチャー・キャピタリストと起業家の関係でも、VCが「このEはビジネス面での評価は7.3/10、パーソナリティは8.9/10か」などと判断できる。その上で、起業家EのBlogを実際に見てみれば、時間の節約にもなるし、VCがEに実際に会う前に、相当量の情報を交換できるので、話が早くなりやすい。

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まぁ、Trackbackのたびにレーティングするのは、ちょっと面倒ですが、それでも友人知人一人ひとりについてサーベイするよりはラクだし、何より時系列による変化(だんだんクオリティが上がっているか、それとも下がっているか)なんかも分析できるようになるので、絶えずフレッシュなデータを得られるようになるのではないかな、と。

実際には、こうした数値化した人的ネットワークを作っていくと、ネットワークはクラスタ化されていることが多いでしょうから(冒頭の模式図は、これを表しています)、今度はクラスター分析をかけながら、よりマクロな分析をしていけるでしょう。こちらになると、今度はマーケティング・ツールとしての利用が可能になるかもしれない。

机上の空論ですが、結構おもしろくできるのではないでしょうか(と言いながらもう1年以上そのままですが…)。