最近の生成AIのブームで、会議の文字起こしや、議事録の自動作成、要約などが格段に省力化されています。
それに合わせてミーティングの設定や、議事録の作成などが、ツールを使って一気に進化しました。英語環境での方法ですが、スケジュール設定ツールCalendlyや議事録自動作成ツールFireflies.aiを私がどう使っているのかを共有しつつ、会議の効率化について考えてみたいと思います(本編は後半の「Fireflies編」になります。前半は「Calendly編」になります。)。
オンライン会議の効率化で、クリエイティブな時間を確保
予約スケジュール機能や、会議の文字起こし、議事録の自動生成機能は、ミーティングの効率を大幅に改善しています。
ただ日本語環境における、会議の効率化ツールは、まだこれからの印象があります。
例えばGoogle Meetの文字起こし機能をヘルプを見ると、「英語以外の言語での会議の文字起こしは、正確ではありません」と注釈があります。また商用の日本語文字起こしツールをいくつか試用してみましたが、あまり満足の行く仕上がりではありませんでした(日進月歩で進化する領域なので、期待は高いです)。
またGoogle CalendarがAppointment Schedule機能(予約スケジュール機能)をリリースしたのは2024年3月で、何故これだけ時間をかけたのかは良く分かりません(マイクロソフトは、Microsoft Bookingで予約スケジュールを提供しており、Microsoft Teamsの文字起こし機能も2021年3月にリリースしています。また議事録の要約機能Intelligent Recapは、2023年5月にTeamsに提供されています)。
日本企業は、仕事の生産性が低いと言われることが多く、また日本企業に勤める方からは「会議が多すぎる」というボヤキも聞こえます。最新のAIツールを使って、是非、会議の効率化から、生産性の向上と、クリエイティブな時間の創出を図れればと思います。
では前半の記事からの続きとして、私のFireflies.aiの導入と、その後の使い方を見ていきましょう。
fireflies.aiの導入(2021年6月)
2021年になってGPT-3ベースのAIツールが多数、出てきたため、主にマーケティング・コピーを書くAIツールと、文字起こしツールを評価し始めました。
マーケティング・コピー用のツールとしては、copy.aiなどがありました。リスティング広告などでは使えそうでしたが、我々はブログなどオウンドメディアでの利用を考えており、この時点では納得がいくクオリティではないと判断して、試用止まりでした。
一方、会議の文字起こしは、精度が完璧でなくても、その議事録部分の音声が即時に再生されれば、業務上は大きな効率化アップが図れることが分かりました。例えば、相手が話した数字や(固有)名詞のメモや文字起こしが間違っていても、文字起こしを閲覧・検索して、その部分の音声を聞けば、すぐに修正できます。
ちょうどKhosla Venturesが投資したばかりだったfireflies.aiが、どんどん進化していたので、使い始めました。
会議の録音のためには、私のカレンダーからビデオ会議のURLを抜き出して、「Fireflies Notetaker ユーザー名」という名前で会議に参加します。
これは、こっそり会議を録音しないために、わざと「Notetaker」と名乗っているのですが、そのために最初の1年ぐらいは、ミーティングの参加者に怪訝に思われたり、会議のオーナーから追い出されたりしていました。
しかし、議事録を参加者全員に配布できるため、希望者に議事録へのリンクを配っているうちに、参加者の印象が「気持ち悪いもの」から「有用なもの」に変わり、徐々に受け入れられるようになりました。
タイムラインや検索、タスク管理などが統合されて複数の会議の見通しがよくなる
2023年になりChatGPTが普及すると、Firefliesも機能を大幅に拡充してきました。
「会議の内容を質問すると回答してくれる」機能や、会議のサマリー、各人のアクションアイテムなどが加わるようになりました。これは、会議後の情報の共有だけでなく、会議に参加してない人からの質問への回答や、会議後に参加者にアクションアイテムをメールするなどが可能になりました。
また、会議中に音声でFirefliesに指示を出すことも可能です(「Remind me」などと指示します。詳細: What are voice commands and how to use them effectively)。
最近では、ソーシャルメディアの「タイムライン」のように、会議ごとに要約がタイムラインに流れ、会議後の頭の整理がスムーズになりました(メールで1週間のサマリーも届きます)。
サマリーを見て気になる会議をクリックすると、議事録の画面に移行します。タイムコードをクリックすると、その部分の音声が再生され始めます(ので職場などでは注意が必要です)。
また、他の言語での文字起こしにも対応しています。通常はデフォルトの言語で文字起こしされます。しかしミーティング前であれば、管理画面に録音・文字起こし予定のミーティングがリストされていますので、該当するミーティングの言語を変更することで、指定の言語で文字起こしが可能です(現時点で日本語を含む69言語に対応しています)。
外部とのミーティングが多い場合は、サードパーティの議事録ツールが良い
多くのビデオ会議ツールは、録音・録画機能や文字起こし機能を持っています(ただし日本語への対応は、冒頭のGoogle Meetのように残念ながら、あまり進んでいません)。社内の会議がメインの場合は、社内会議で使われるツールの文字起こし機能を使えば、生成AIツールと組み合わせることで、議事録の生成も容易でしょう。
最近ユーザーローカルが、生成AIを使って、文章を議事録形式で要約できる機能を提供していました。文字起こししただけの文章では、会議の後の作業の省力化にはつながらないので、こうした機能へのニーズは、今後高まるでしょう。
複数のビデオ会議ツールから文字起こしができて、そこから議事録やアクションアイテムが自動生成されるようになると、会議の生産性はさらに上がるでしょう。
日本企業は、仕事の生産性が低いと言われることが多く、また日本企業に勤める方からは「会議が多すぎる」というボヤキも聞こえます。最新のAIツールを使って、是非、会議の効率化から、生産性の向上と、クリエイティブな時間の創出を図れればと思います。