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関 信浩が2002年から書き続けるブログ。ソーシャルメディア黎明期の日本や米国の話題を、元・記者という視点と、スタートアップ企業の経営者というインサイダーの立場を駆使して、さまざまな切り口で執筆しています

骨伝導頭蓋骨のレントゲン写真でお馴染み(?)の骨伝導ケータイ、ツーカーTS41。音声通話にこだわるツーカーらしいアプローチ、ということなのだが、どうも腑に落ちない。

というのも、ツーカーのアプローチは「技術主導の商品設計、つまり先端技術の取り込みではなく、ケータイの本来の目的である音声通話にしぼる」ということだと感じていた。つまり、主マーケットは「先端テクノロジーに流されない、目的思考のユーザー層」なんだろうと感じていた。

しかし今回の「骨伝導」。音声にこだわった、というのは分かるが、「世界初」の骨伝導システムは、どうも「技術志向の人」に向けたメッセージのような気がしてならない。ダウンタウンの松っちゃんに言わせれば「骨伝導、なにそれ。そんなんいらんよ」とでも言われそうなモノなのじゃないかな、と思える。

実際、デモ機を使って骨伝導の実力を店頭で試させてもらったが、まず骨伝導を使うのに「反対の耳をふさいでください」と言われる。それでいて、頬にケータイをあてて骨伝導を試す。

全然、自然ではない使い方。それも、お世辞にも、あまり音質はいいとは言えない。結局のところ、耳につけないと、音質はそこそこ。骨伝導の意味はあまりない。骨伝導を使おうと思えば、耳をふさぐという不自然な使い方が必要になる(ようだ)。

どうも、利用者の利用方法を考えた「骨伝導」の導入というよりは、やはり話題先行のための「最新技術」の活用に思える。

せっかく「音声重視」を打ち出したツーカーだったが、そのアンチテーゼだった「技術偏向からアプリケーション回帰」が、この骨伝導で崩れなければいいな、と思うのであった。