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関 信浩が2002年から書き続けるブログ。ソーシャルメディア黎明期の日本や米国の話題を、元・記者という視点と、スタートアップ企業の経営者というインサイダーの立場を駆使して、さまざまな切り口で執筆しています

ガリレオの指先日、久しぶりに恵比寿に行く用事があり、恵比寿時代によく言っていた駅ビル(ATRE)に入っている書店(有隣堂)に行った。別に広い書店ではないが、行きつけている書店は、どこに何があるのか分かって本探しに熱が入りやすい。
そこで、なんとなく手にとって買った本が、「ガリレオの指―現代科学を動かす10大理論」である。

ここ10年ほど、まったく科学についての最新情報に触れていないため(工学については触れている気がするが)、忘れてしまったことも含めて復習しておこうという気持ちからである。

内容は書名の通り、10の理論について章ごとに解説している。


  • 進化

  • DNA

  • エネルギー

  • エントロピー

  • 原子

  • 対称性

  • 量子

  • 宇宙論

  • 時空

  • 算術


内容の方は、古典的ないわゆる“教科書的”な構成になっており、各論とも歴史を紐解く形で解説されている。

自分は通常、本は最初から順番に読むのだが、今回の構成は章ごとにそれなりに独立した構成になっており(ただ、例えば量子の前には原子を読んだ方がいい、というのはあるかもしれない)、生物学より物理学への興味が高いために、「エネルギー」の章から読み始めた。

本書の進め方は、なるべく分かりやすい表現で解説を進めるというもののようである。プロローグでも「本書では応用より基本的なアイデアに注目した。(中略)私のねらいは、テクノロジーの進歩の土台を明確にするような、またたいていはそれを提供してくれるような、「アイデア」を突き止めることにあった」とあるように、基本的な概念を読み解いてくれる。


「ガリレオの指」の原書は2003年に出版されている。ほぼ現代の科学をベースにした読み物としては、なかなか良書だと思う。しかし、原書の出版年を確認する際に、翻訳権を早川書房が持っていることを発見し、ふと早川書房が出していたアイザック・アシモフの科学エッセイシリーズのことを思い出した。

アイザック・アシモフはSF作家として有名だが、科学をわかりやすく説明するエッセイを雑誌にずっと連載しており、それを定期的にエッセイ集として出版していた。私は小学校のときに祖父の本棚から「時間と宇宙について ハヤカワ文庫 NF 23 アシモフの科学エッセイ 3」を見つけて読んで以来、大ファンになってしまい、ほとんどのシリーズを読んだ(アマゾンでは検索ページに行って、著者を「アイザック・アシモフ」、タイトルを「NF」(ノンフィクションの略)で調べれば15冊出てきます)。

アシモフの科学エッセイの原書は、古いものでは確か1950年代のものもあるので、すでに古くなってしまった事実もたくさんある。しかし、軽妙な語り口で科学をここまで楽しく解説している本は、非常に稀だと思う。それに科学といっても、天文学から物理学、そして生物学やらなにやらで、ガリレオの指が選んだ10分野も、ほとんど網羅されていると思う。実家にある科学エッセイシリーズを、取りに帰りたくなってきてしまった。

ということで、ガリレオの指も良書だと思うが、軽妙で面白い、最新の科学に基づいた本が欲しいと思う今日この頃。