気がつくと机がぐちゃぐちゃになっているあなたへ(草思社)」を読んだ。整理術の本かと思ったら、スケジュール管理指南本だった。「ふーん、まぁこうやればうまくいくんだろうねー」と思いながら読み進むと、かなり後半(183ページ!)に、結構感動するフレーズに出会った。
それは、「ハートマークのついた行をつくる」である。スケジュールの中に、自分の将来の目標を達成するためのものを組み込み、それをハートマークをつけて、必ず毎日入れて実行しろ、というものだ。例えばチェロ奏者になりたいのであれば、今日は「チェロを戸棚から出す」、明日は「楽譜を探す」、明後日は「弓の手入れをする」などなど。
要は、その日のうちに済ませることができるような小さなことを、必ず毎日の予定に入れて確実に遂行する。「多忙を極めるビジネス環境の中で日々の業務を効率的にこなし、将来の夢を実現しよう」―。この書の隠されたメッセージを垣間見たような気がする。
「夢は本人の意志と実践なくしては実現しない」―。この当たり前のことを、いま、ボクたちは、本当に理解しているだろうか。
終身雇用が当たり前だった時代、自分の夢のために何かをするというのは、もしかしたら背信行為だったのかもしれない。「一生、会社に忠誠を誓う」というのは、会社と個人の夢を一致させない限り、うまくいかないのだろう。
しかし、いま、個人の自立が叫ばれている中、どれほどの人が自分の夢を実現するために、日々自己研鑽しているだろう。いや、みんなしようしようと努力しているし、したいと思っている。しかし、それが「会社に後ろめたいもの」になってはいないだろうか。
逆に、この「後ろめたさ」みたいなものを取り除ければ、(日本)人はもっともっとクリエーティブになれるような気がする。