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関 信浩が2002年から書き続けるブログ。ソーシャルメディア黎明期の日本や米国の話題を、元・記者という視点と、スタートアップ企業の経営者というインサイダーの立場を駆使して、さまざまな切り口で執筆しています

昨日のエントリー「BlogはWWWサービスか?」の続き。多少長くなっているので論点をまとめてみる。

  • Blogは「個人」がエージェントとして、 主観フィルター」をかけている
  • 結果を受け取るインタフェースが標準化されている(RSSなど)
  • しかしBlogはリクエストを受けて結果を返すわけではない。
これだけを見ると、受動的にリクエストを受け取らない最後の点がクリティカルで、ちょっと「サービス」と呼ぶには苦しい気がする。

しかし、ここでのBlogはBlogのオーサーが一方的にエントリーを作成しているものを想定していた。
したがって、コメントとトラックバックについても考えることで、もう少し違った考察が可能かもしれない、というところである。

ここでコメントとトラックバックについて考えるにあたっては、トラックバックと表裏の関係にある「リンク」の「一方向性」について考えてみる必要があるだろう。

もはや当たり前の話かもしれないが、リンクは一方的なもので、人気があるサイトはたくさんのリンクをはってもらっている(インカミング・リンクが多い)。

ところが、自分にリンクをはってもらうのは一般に非常に難しい(まぁ、だからこそ「トラフィックを売る」なんてのが商売になるのだが)。

しかし、トラックバックを使うと、原理的には逆リンクがはれる。トラックバックを使えば、「この話は、うちのBlogでも話しているよ」とトラフィックを誘導することができる。これは、コメントで触りを話してURLを書いておくのでも人間から見れば同じだが、双方向のリンクが規格化されて流通するので、機械から見た場合の意味は大きく異なるだろう(「セマンティック」という話につながるだろう)。

もちろん、トラックバックをみんなが濫用するようになれば、ノイズが増えて(S/N比が下がって)、徐々に効果がなくなる。これはホームページが少なかった昔であれば、簡単にYahooにリスティングされたのと同じ。しかし、意味合いは大きく異なるわけだ。


次に、あるトピックが起こり、それに対してさまざまなBlogが「フィルター」をかけている状況を考えてみよう。これはネットワーク的に見ると、トピックの震源がネットワークの「ハブ」になり、その周りにネットワークが構成されていく過程に似ている。

ここで、通常の一方向リンクしかないネットワークと、トラックバックが存在する双方向リンクのネットワークでは、前者が「ハブ&スポーク型」に近い形になりやすいのに対して、後者は「メッシュ型」になりそうである(これは予想)。なぜなら、ネットワークの成長時に、例えばハブがかなりの度合いで情報の流通をコントロールする場合、スポーク側の各Blogは、他のスポークBlogの存在をほとんど知りえないからである。例えば新聞サイトのケース。彼らはニュースは流すが、それを取り上げているBlogの情報などは流さないから、ある記事で盛り上がっているBlogがあっても、他のBlogはなかなかわからない(←検索エンジンのような存在を無視したケースですが)。

これに対して、トラックバックがあれば、例えば最初ハブになったサイトには、その記事を引用しているスポーク側のサイトが分かる。たいていはハブを介せば済むわけだが、もちろんスポーク側サイト同士が相互に直接リンクを張り合うことができる。その結果、より濃密な意見交換が可能になり、そこにはこのトピックに関するゆるやかなバーチャル・ネットワークができるのではないか(ここも推論)。


そして、今日も1日が暮れてしまった。本題の「BlogはWWWサービスか?」には到達していないが、この続きはまた明日以降に書くことにしよう。