Sync A World You Want To Explore

関 信浩が2002年から書き続けるブログ。ソーシャルメディア黎明期の日本や米国の話題を、元・記者という視点と、スタートアップ企業の経営者というインサイダーの立場を駆使して、さまざまな切り口で執筆しています

昨日Amazon.comが発表した「Amazon Prime Rewards Visa Signature Card」が、日本で話題になっているようです。

還元率5%のクレジットカード「Amazon Prime Rewards Visa Signature Card」をAmazonがプライム会員向けにリリース 00.jpg

魅力的なサービスを次々と追加することで有料メンバーのPrime会員を増やし続けるAmazonが、なんとAmazonサイト内で使った金額の5%が還元されるクレジットカード「Amazon Prime Rewards Visa Signature Card」を発表しました。

でも、これって米国のクレジットカードのさまざまな特典を使っている人からすると、それほど衝撃的なニュースではないかもしれません。確かに米国基準で考えても「5%還元」は大きいですが、実はAmazonは物理的なカードを発行しない「Amazon Store Card」(発行: Synchrony Bank)で、プライム会員向けの5%キャッシュバックを実施していたからです。

さらにAmazonでの買い物以外の特典である「2%還元(レストラン、ガソリンスタンド、ドラッグストア)」と「1%還元(その他の利用)」については、特典付きクレジットカード業界ではごく普通の還元率です。

例えば今回デビューした「Amazon Prime Rewards Visa Signature Card」の発行元であるJPモルガン・チェースは、自社ブランドでクレジットカード「Freedom Unlimited」と「Freedom」を発行していますが、「Freedom」では、四半期ごとに決まるカテゴリ(例えば2017年第1四半期は「ガソリンスタンドと公共交通機関」)での買い物は5%還元(1500ドルまで)、それ以外の買い物は1%還元。「Freedom Unlimited」ではすべての買い物について一律で1.5%還元です。

最近、私が目にした最大の還元率のクレジットカードは、Discoverが発行する「Discover it」で、四半期ごとに決まるカテゴリ(例えば2017年第1四半期は「ガソリンスタンドと公共交通機関」)での買い物は5%還元(1500ドルまで)というのはFreedomと同じですが、さらに「マッチ」という仕組みがあり、初年度に限り、初年度に得たキャッシュバックと同額を年度末にさらにキャッシュバックするというものです(例えば、2017年に500ドルのキャッシュバックがあれば、年始にさらに500ドルがキャッシュバックされる、という仕組みです)。

ちなみに今まで挙げたすべての特典付きクレジットカードは、年会費が無料です。Amazon.comはプライム会員に限定していますから、厳密には無料カードとは言えません(年会費が99ドルかかります)。なので、このAmazon Prime Rewards Visa Signature Card」がいわゆる「最強のクレジットカード」とは言えないと思います(もちろん、プライム会員の会員ベースを考えると、追加コストなしですが)。

米国ではクレジットに関する与信の仕組みや、クレジットカード会社のビジネスモデルが違うので、同じような形で日本に入ってくることはないのかな?と思います。

PS
こちら米国ではオンラインですぐにクレジットカードの審査ができ、すぐに番号などもアサインされる仕組みがあるので、私も早速、Amazon Prime Rewards Visa Signature Cardの発行を受け、Amazon.comのデフォルトの支払いオプションに設定しました。Prime Nowのシステムは特殊だったのか既存のStore CardがAmazon.comに依存したカードだったのか分かりませんが、Prime Nowの決済手段としてStore Cardが登録できない、という制限があったのですが、Amazon Prime Rewardsは問題なく登録できましたので、これからはPrime Nowの買い物でもキャッシュバックが貯まることになりました(今まではFreedomを登録していたので1%でした 笑)。