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関 信浩が2002年から書き続けるブログ。ソーシャルメディア黎明期の日本や米国の話題を、元・記者という視点と、スタートアップ企業の経営者というインサイダーの立場を駆使して、さまざまな切り口で執筆しています

5年ぐらい前に「完全無欠ダイエット」などと呼ばれて話題になったケトン体ダイエット。そして糖質制限から、血糖値をコントロールするダイエット方法が話題になり、最近はCGM(持続血糖測定)器を使ったダイエットが流行っていると聞きます。

私も例にもれず、5年前には完全無欠ダイエットのためにバターコーヒーを試し、その後に血糖値の測定のためにAbbottのCGM器「Freestyle Libre」を入手しておりました(ありがとうございます、R.E.さん!)。

実はこのCGM器のおかげで、コロナが猛威を奮ったニューヨークで、栄養失調気味で低血糖症になっていたことにいち早く気づけました。

私はそもそも2018年11月からニューヨークで、重度障害を抱える5歳の娘と2人暮らしで、リモートワーク中心の生活をしておりました。スタートアップあるあるですが、カツカツの生活をしている中で、2020年3月に突如として始まったコロナによるパンデミックで、フルリモートワークへのシフトを余儀なくされました。

リモート生活そのものは、日本とのやり取りで慣れていることもあり、それほど苦ではありませんでした。しかしコロナで学校が閉鎖され、24時間、娘が家にいる生活に移行したことは、生活を激変させました。

まず自炊する時間がなくなりました。狭いアパート、台所にいると娘に邪魔されますので食事を作る暇がありません。さらにロックダウンで娘は学校に行きませんので(結局、3/14から約6か月、娘はずっと家にいました)、私のカロリー摂取源はデリバリーになりました(娘は摂食障害があり、もともと胃ろうからミルクを摂取するだけで、食事はしません)。

米国ではサービス業には「チップ」という習慣があります。チップを払うようなサービスを受ける、というのは基本的には贅沢をしている、というイメージに近いと思います。実際、1人前の食事をデリバリーに依存するというのは贅沢の極みであり、スタートアップ経営者である私にとっては、かなり厳しいものになりました。

仕事の忙しさとコスト的な問題により、食事の頻度が急減したことからか、5月ぐらいからめまいがしたり、頭が回転しないことを身を持って感じるようになってきていました。「空腹になると寝てしまう」というのは、大学生時代から体験したきたことなのですが、友人などに話すと「空腹になると眠れない」のが普通であり、寝てしまうのはおかしい、とずっと言われてきました。

特にコロナ禍がピークだった今年の4月5月は、1日1食が当たり前で、21時ぐらいになると寝てしまっていました。なので食事と眠さの関係が気になり、6月になってCGMでリアルタイムで血糖値を測り始めました。

すると、夜になると血糖値は標準レンジ(空腹時の正常値は70-110mg/dLあたり)を大きく下回る数字で、朝起きるころは50を切ることもあるような状況でした。

夜間低血糖は、多くの場合は糖尿病の人が、インスリン治療の結果、インスリンによる血糖値抑制の結果、起きるようで、ウェブを調べても私のようなケースは見つからない。

折しもコロナによるロックダウンの最中で、病院に行くのも難しい状況だったこと。そして国民皆保険制度がないアメリカなので、私の健康保険では、かかれる医師・病院がかなり限定されていた。なので、自身の持つ道具や知識、そして知り合いの知識・知恵に頼りながら、手探りで低血糖からの脱出を試みた。

一番の問題は、コロナのせいで忙しさはピークを迎えていたが、学校が閉鎖されたため、子供がずっと家にいるようになったことだった。実際、仕事と育児で、食事を食べる暇がなかった(作る暇ではなく、食べる暇がなかった)。

友人たちの勧めで、完全食「ソイレント」を購入し、朝起きたときや、夕方に気がついたときに飲む、という習慣を作った。

ソイレントは創業者が以前、スタートアップ経営でうまくいかず「手元にある資金で行けるところまで行くしかないと決意する。貴重な資金を無駄にしないためには、出費の切り詰めが必要だ。まず家賃や食費を節約しなければ」という状況で生まれたもの。当時の私の状況とも似ており、血糖値が正常に戻ったと感じるまでは、ずっとお世話になった。

ソイレントの創業秘話は、こちらが詳しいので興味がある方は是非(スタートアップ・アクセラレーターの老舗Y-Combinatorでうまく行かなかった創業者の話です)

最近は、CGM器を使ったフィットネス・ソリューションも登場している。先月、A16Zがリードして1200万ドルを集めたLevels社は、アプリとCGM器を使って、代謝を最適化し、健康な(理想な)肉体を作るというコンセプトである。

血液を定期的に測定すると、いろいろなことが分かるので、血糖値に限らず、血液を監視して生活スタイルを変えるというのは、今後のフィットネスのトレンドになっていくのは間違いないでしょう(私は10年前に、禁酒の効果を探るために、毎週、血液検査をしていましたが、そのときの話は、またいずれ書きたいと思います)。

2021年は、血糖値をコントロールして、健康を手に入れよう!