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関 信浩が2002年から書き続けるブログ。ソーシャルメディア黎明期の日本や米国の話題を、元・記者という視点と、スタートアップ企業の経営者というインサイダーの立場を駆使して、さまざまな切り口で執筆しています

オミクロンの流行で「外国人は、当分の間、「特段の事情」がない限り、上陸を拒否」となってから約2か月。政府は早々に「2月末まで継続」と発表しており、少なくても3か月は、海外の企業が日本企業を訪問して、ビジネスを進めることは出来ない状況になっています(上陸拒否の対象になっていない国・地域を迂回して来ることは可能ではありますが…)。

私が関係している米国のスタートアップ数社でも、日本行きの予定がキャンセルになり、提携交渉がストップしたり、急遽、日本に入れる日本人に教育を施して、日本に技術指導に派遣するなど、かなりの労力をとられています。

それでも、努力をしてでも日本の大手メーカーとビジネスをしたい、というのは、私たち(Monozukuri Ventures)が投資しているスタートアップの多くから聞きます。私が以前に属していたSaaSの分野では、長らく「ジャパン・パッシング(日本を素通りする)」という状況が続いており、今回のように日本が「鎖国」状態になってしまったら、日本進出のインセンティブがゼロになってしまうのではないかとおそれていたと思います。

製造業イノベーションで「DX」にとどまらないイノベーションの発掘・深堀を!!



私が現在、勤めている Monozukuri Ventures では2017年の1号ファンド立ち上げから、日米のハードウェア系スタートアップに投資をしてきました。ただハードウェア系スタートアップと親しくなる過程で、特に米国で、数多くの「製造業にイノベーションを起こす」ような技術や製品に出会ってきました。そこで2021年頭に立ち上げた2号ファンドでは、新たに「先端製造技術(AM: Advanced Manufacturing)」を投資重点分野に加えて、投資を継続してきました。

その結果、2020年までは9社しかなかった、製造業にイノベーションを起こすような投資先が、2021年の1年間で20社と倍増。投資分野も「製造業DX」をはじめとするデジタル分野はもちろん、「素材・部品」から「製造技術」といった、製造業の基礎分野でも数多くのスタートアップを見つけることが出来ました。

そこで Monozukuri Ventures では、この分野を「製造業イノベーション」領域として定義し直し、4つのサブカテゴリーに分けて投資を推進することにしました。具体的には以下の通りです。

  • 業務プロセスのデジタル化を行う「調達・サプライチェーン」分野
  • 工場で働く人のデジタル化を行う「製造業DX」分野
  • 作れる製品・サービスを変革する「次世代の素材や部品」分野
  • 少量多品種向け製造などの「次世代の製造技術」分野

ファンドのサイズに制限があるため、そのすべてのスタートアップに投資することはもちろん出来ないのですが、それでも2021年に投資した11社の中には、日本経済新聞に取り上げられて以降、多くの日本メーカーからお問い合わせをいただいているArieca(アリエカ)社をはじめ、日本の製造業に貢献できそうなスタートアップが複数でてきました。

詳しくは、以下の記事をご覧ください。

日本への「上陸拒否」のために、こうしたスタートアップが楽しみにしていた日本出張は、無期延期になってしまいましたが、代わりにMonozukuri Venturesでは、こうしたスタートアップのご紹介とピッチビデオをお見せするイベントを、定期的に開催する予定です。ご期待ください!!