Sync A World You Want To Explore

関 信浩が2002年から書き続けるブログ。ソーシャルメディア黎明期の日本や米国の話題を、元・記者という視点と、スタートアップ企業の経営者というインサイダーの立場を駆使して、さまざまな切り口で執筆しています

2022年後半は米国では、スタートアップの資金調達環境が大きく冷え込みました。特に「ユニコーン」と言われる、企業評価額が1000億円級超のスタートアップが、評価額を下げての資金調達や、レイオフを実施していることは、日本でも報道されていると思います。

しかし唯一、ハードウェア系のスタートアップは、2022年後半に、前半よりよい成績で資金調達を進めていたことが米Cartaの調査で分かりました。

ハードウェア分野のスタートアップのみが、2022年後半になって企業評価額を高めている。米Carta調べ

Carta社は、主に米国でスタートアップ向けの資金調達まわりのサービスを手がける大手のスタートアップで、約3万社の未上場株式の情報をほぼリアルタイムで把握しています。この調査データによると、他の業界では2割前後、企業評価額が落ちているのに対して、ハードウェア業界は唯一、評価額を上げています。シリーズAのラウンド前(Pre-money)評価額では、中間値で約27%アップの5700万ドルとなっています。これに対して、例えばSaaSでは、中間値では上期の5000万ドルから、下期は4300万ドルと、14%も下げています。

もっとも、Cartaによると、ハードウェア・スタートアップの2022年下期のシリーズAの件数は、上期よりも減っているということなので、「厳選されたハードウェア・スタートアップのみが下期にシリーズAを実施し、これらのスタートアップは市場全体が下降気味だったにも関わらず、それに影響されることな評価された」と見ることが出来そうです。

他の業界の数字や、米国のスタートアップの資金調達市場全体のトレンドについては、Cartaが1月12日にブログで公開した「First Cut – State of Private Markets: Q4 2022」をご覧ください。