米国の調査会社CB Insightsが発行したState of CVC 2022 Reportによると、2022年のCVC投資数で、日本のCVCが4社、トップ10にランクインしました(CVCはコーポレートVCの略)。
ランクインしたCVCはすべて金融系で、三菱UFJキャピタル(3位)、みずほキャピタル(6位)、SMBCベンチャーキャピタル(7位)、SBIインベストメント(8位)となっています。
トップ10の残りの6社は、米国が5社(Coinbase、Google、Salesforce、Binance、Intel)、韓国が1社(KB Financial Group)となっています。
興味深いことに、日本と韓国で多数のVC投資をしているCVCは銀行系であるのに対して、米国ではテクノロジー系です(もっとも、CoinbaseとBinanceは金融系ではあります。ただ2社とも設立から10年前後の新興テック企業です)。
これは、CVCに与えられている役割が、米国と、日本や韓国では異なるからかもしれません。
CVCの役割は多様です。ChatGPTに、コーポレートVCについて聞いてみましょう(以下の引用中、太字は筆者)。
Corporate VCとは、大手企業が直接出資するベンチャーキャピタルのことです。米国においてCorporate VCは、新しい技術やアイデアを持つスタートアップに対して投資し、自社の成長やイノベーションを促進するための重要な役割を果たしています。
具体的には、Corporate VCは以下のような役割を持ちます。
- 投資先企業とのパートナーシップ形成: Corporate VCは、投資先企業との関係を築き、自社の技術やビジネスモデルを開発するための相互的な利益を追求します。
- 技術や知識の取得:Corporate VCは、投資先企業から新しい技術や知識を取得し、自社のビジネスに応用します。
- イノベーションの促進:Corporate VCは、新しい技術やアイデアを持つスタートアップを支援することで、自社のイノベーションを促進します。
- ファンドの運用:Corporate VCは、投資ファンドを運用することで、自社の資金を有効に活用し、収益を上げることができます。
- M&Aの促進:Corporate VCは、投資先企業が成長し、自社の技術やビジネスモデルが成熟すると、その企業を買収することがあります。これにより、自社の成長や市場拡大を促進することができます。
以上のように、Corporate VCは、投資先企業とのパートナーシップ形成や技術・知識の取得、イノベーションの促進などを通じて、自社の成長やイノベーションを促進する重要な役割を担っています。
日本では、スタートアップと連携する「オープン・イノベーション」が盛んになっており、その結果としてCVCが多数、活動しています(独自調査によると、メーカー系だけで50以上のCVCが活動)。
しかし5番目の「M&Aの促進」とまでは至っていません。
むしろ、銀行系のCVCの狙いの一つは、投資先が上場に至る過程などが、グループ会社の収益機会になる、という事業シナジーにあるようです。
それに対して米国勢は、5番目の「M&A」に積極的です。米Crunchbaseのデータベースによると、Coinbaseは2021年に6社、2022年に2社を買収。Googleは2021年に3社、2022年に8社となっています(実際には報道されないような小さいM&Aがもっとあります)。実際、Googleを超巨大企業にまで引き上げたサービスの少なくない数が、買収によるものです。
今回のState of CVC 2022には、他にも興味深い結果があります。これについては別記事としてお届けしたいと思います。