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関 信浩が2002年から書き続けるブログ。ソーシャルメディア黎明期の日本や米国の話題を、元・記者という視点と、スタートアップ企業の経営者というインサイダーの立場を駆使して、さまざまな切り口で執筆しています

新会社「FabFoundry Inc」を米ニューヨークで始めました。FabFoundryではデジタル技術を活用したモノづくり(Digital Fabrication)をするスタートアップ企業を育てるシード・アクセラレーター事業と、気軽にモノづくりを始められるアイディアを育てられるモノづくりコミュニティ「FabCafe」を組み合わせた、新しいタイプの「インキュベーター+アクセラレーター」の事業を立ち上げる予定です。

現在は自己資金と一部のエンジェル投資という最低限の運転資金で経営しています。ただ今秋のFabCafe NYCの開店と、今冬のFabFoundryアクセラレーター・プログラムの開講に向けて、本格的な資金調達(シード資金)を始めるフェーズに入っています。10年前のSix Apartでは、資金調達に長けた経営メンバーが矢継ぎ早に資金調達やM&A(合併・買収)をまとめてくれたので、私は必要に応じて頼まれた資料を出すだけでしたが、今回は自分が主導しなければならず、本当に苦労しています。でも、それも含めて経験ですので、せっかく与えられたニューヨークでの資金調達の機会をやりきれればと思っております。

FabFoundryの構想そのものは2013年ごろから具体的にイメージしていました。2012年に東京・渋谷にロフトワーク社が世界で最初の「FabCafe」を立ち上げ、2013年はその取り組みが徐々にメディアなどでも注目されるようになってきていたころです。

このときに考えていたことは3つ。


  • 「3Dプリンターが急速に普及」などの報道はあるものの使ったことがある一般人は皆無に違いない

  • 3Dプリンターによって、インターネット接続された家電やデバイス(IoTなど)が一気に多様化するはず

  • 3Dプリンターによるプロトタイピングを生かせるコンシューマ製品のデザインには、人口が多く世界一のデザイン市場であるニューヨークは、シリコンバレーより有望かもしれない

このころ(2013年春)はシックス・アパートの米国再進出の計画が具体化されたころですが、再進出の地としてもサンフランシスコでなくニューヨークを考えていたので、FabFoundry事業の青写真も、出張でニューヨークを訪れるたびに、徐々に具体化されていきました。

このころは、まだ「IoT」という言葉があまり流行っていなかったこともあり、また懐疑的な見方も多かったので、FabFoundryの構想にはあえて「IoT」という言葉を中核に据えていました(2014年末に「IoT」という言葉が広まり陳腐化したために使うのを止めました)。そのため「IoTに特化したインキュベーター施設」や単に「FabCafe NYC」というプロジェクト名で、シックス・アパートのニューヨーク進出後のR&Dプロジェクトの一つとして考えられていました(そもそも「FabFoundry」という名称も、2014年夏になって考えたものです)。

また「FabCafe」についても、当時はメディアなどから注目され始めていたものの、ビジネスモデルなどについては懐疑的な意見が多く、新規事業のアイディアとして「ニューヨークでFabCafeを立ち上げる」と話しても「引退して飲食業でも始めるの?」と言われていました。

つづきます。

この記事は、ニューヨークとVC投資・アクセラレーターに関する記事の一つです