ふと書棚を見ていたら、2年前に買った本が出てきた。今はなき赤坂通りの本屋で買ったもの。この「戦術と指揮」という本、実は1995年刊行の本。内容は文字通りタイトル通り、軍隊の戦術について語った本。著者の松村劭氏は、元自衛隊陸将補で、本書の内容は主にケース(中川盆地における戦闘、Q島における作戦活動)を用いて、戦場における戦術と指揮について語っている。
当時、どうしてこのような本を購入したのか。それは、直前に受けていたEntrepreneurshipの授業の中で、John Nesheim氏が「ベンチャーが生き残っていくには、まず巨大な敵と戦うための戦略が不可欠」と、実際の戦争になぞらえて語っていたことが、頭にこびりついていたからに違いない。
しかし本書では、「戦略は戦争の勝利のために一連の戦闘を効率的にアレンジするが、戦闘に敗北すればどんなにすぐれた戦略も、元も子もなくなる。戦闘に勝利する術は「戦術」なのだ」(本書はじめにより)として、戦術に重きを置いて解説しているのである。
確かに、マクロ的に「将来的にこの分野は伸びそうだ」として、戦略的に投資をしても、そこにはいずれ競争相手がひしめき合う。その中で、競争相手を打ちのめして生き残るには、優れた戦術(と運)が不可欠。そうした意味では、一度張る場所を決めたベンチャーにとって、生死を分けるのは戦術なのかもしれない。そんなことを思って、本書を手に取った(ような気がする。実際には、この分野のふつうのビジネス書には辟易&飽き飽きしていた)。
しかし冒頭から、かなり含蓄がある「戦いの原則」の紹介がある。
- 目標の原則
- 統一の原則
- 主導の原則
- 集中の原則
- 奇襲の原則
- 機動の原則
- 経済の原則
- 簡明の原則
- 警戒の原則
詳細については本書を参照して欲しいが、とにかくこの紹介を書きながら、改めて読め始めたくなる(そして読め始めてしまった)ような本である。
(戦術と指揮、ふたたびにつづく)