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関 信浩が2002年から書き続けるブログ。ソーシャルメディア黎明期の日本や米国の話題を、元・記者という視点と、スタートアップ企業の経営者というインサイダーの立場を駆使して、さまざまな切り口で執筆しています

「どのような形にするか早急に決めて連絡します」― 日経ビジネスを発行する日経BP社の方からコメントをもらったのは11月6日のことでした。

それから、はや1か月。音信不通とは、今のこの状況を指す言葉に違いありません。

日経ビジネスオンライン(以下、日経ビジネス)で私が連載していた「「シリコンバレーの外」から見る米国の風景」の3回目の原稿が、提出から半年を経ても掲載されない問題は、すでに私個人の問題から、私が勤める会社の取締役会で複数回にわたって議論される事態になっています。

日経ビジネスを発行する日経BP社にとっては取るに足らない問題かもしれません。しかし、私にとっては日々の業務に支障をきたすほどの問題になってしまっているのです。

担当編集から返事がない!

私と日経ビジネスの連載担当の方との間に異変が起きたのは7月。普段からやり取りしているFacebook Messengerで送った、私の最後のメッセージが、いつまでたっても「既読」とならないことから始まりました。

担当の方からの最後のメッセージは「すっかり失念。失礼しました!」。6月15日に入稿した3本目の原稿に対するフィードバックが1か月経っても来ないので、7月21日に恐る恐る送ったメッセージに対する返事でした。

このメッセージを最後に、この方からのメッセージは途絶えます。

あまり頻繁に「どうですか?」と聞くのも、担当の方の士気を下げてしまう可能性があるので、メッセージは1週間以上はあけよう、というルールを自分に適用しました。そして7月31日、8月10日、8月21日、8月27日と少し間をあけてメッセージを送ってみました。しかし一向に「既読」となりません…。

編集部内で問題が共有されていない?

4月26日に公開された第2回の原稿(「イノベーションのジレンマ」と戦ってきたグーグルへの誤解)の締め一文は、次のようなものでした。

次回は、今の日本企業が進めるオープンイノベーション活動の中で、米国で活動するスタートアップや投資家の視点から見て、問題があると思われる活動を洗い出し、その対策・対応について論じてみたい。

この一文が掲載されていることから、「連載が少なくても次回まで続くことは、編集部内でも共有されているのだろう」と思っていました。「さすがに第2回の連載から3か月も経ち、編集部内でも対応策を協議しているはず」と。

私は楽観的すぎるのでしょうか。

メッセージを送った8月10日と8月21日の間には、いわゆる「お盆」があり、ニュースが少なくなります。なので編集部としては、いつもより記事を掲載したいはずです。しかし、この時期を過ぎても、(担当者に限らず)編集部から連絡がありません。「もしかして編集部は、この事態をまったく把握していないのでは…」。不安が頭をもたげ始めました。

この時点で「直接、編集部の代表電話に連絡すればよいのに」と思われる方もいらっしゃると思います。しかし、担当の方に何が起こっているのか、違う国にいる私からはよく見えません。まず体調を崩していることが想像されます。そんな中で、不完全な情報が部署内で伝言ゲームになり、その方がいたずらに責められたりして欲しくない、という思いがありました。

なので、回りくどい方法で、事態を把握することにしました。

複数のルートで編集部にアクセス

実は私は1994年から2003年まで、日経ビジネスを発行する日経BP社に勤めていました。とはいえ私が所属していたのは技術系メディアの部署で、日経ビジネスが所属するビジネス系メディアの部署とは、オフィスの場所から異なっており、ほとんど「別会社」のような距離の遠さでした。そのため現役時代は同期入社の1人しか日経ビジネス編集部に親しい知り合いはいませんでした(入社面接では「日経ビジネス」を志望していたのですが…)。

ただ、その後の社会人生活やソーシャルメディアの普及で知り合いが増え、また日経BP社の技術系メディアの出身でも、日経ビジネスと接点を持つ方が少しずつ増えました。

そこでまず8月29日に担当の方との共通の知人に連絡をとってみました。しかし、その方からの働きかけがあっても担当の方からは返事がありません。10月初旬にもう一度トライしてみましたが、やはり担当の方の反応はありません。

そこで10月18日に担当の方に「最後の確認です」というメッセージを送り、そのメッセージに返信がないことを確認してから、日経BP社の知り合いのうち、日経ビジネス編集部につてがありそうな方へのアクセスを試みました。

いくつか上の上司にアクセス

その甲斐あって10月末に、担当の方のいくつか上のレイヤーの上司の方とのミーティングが設定されました。

10月30日(奇しくも54歳の誕生日!)にビデオ会議で、その方にお会いすることができました。日経ビジネスは就職活動時の志望部署だったので、少し緊張しつつ、連載を始めることになった経緯なども含めて、事情を詳細にお伝えしました。

その方は、「(担当の方の)直属の上司でないので、まずは個人的に事情を聞いてみます」とおっしゃってくださいました。

ただ私の方も、このミーティングの直前に開催された自社の取締役会で、連載記事が半年ほど掲載されていないことと、その対策が効果を上げていないことについての説明責任を問われていました。

なので上司の方には「なぜ掲載できていないかではなく、連載は今度どうなるのか。書き溜めている原稿はどうすればよいのかについての方針を聞きたい」とお伝えしました。

というのも担当の方とは、連載開始時に、余力があるときに原稿を書き溜めておくことで合意しており、10月の時点では、第5回まで書き終えており、第6回を書き始めていました。

以前に担当の方から「未発表の原稿でないと掲載できない。他のメディアだけでなくブログやソーシャルメディアでもダメ」と釘を差されていました。なので、3回目以降の原稿で取り上げられる内容に関連したトピックについては、念のため自分のブログにも書かないように注意していました。

実際、1月から5月まで25本の記事をブログで更新していたのですが、3回目の原稿を提出してからは、10月になって連載を半ば諦めるまで、ブログには1本も記事を投稿しませんでした。ブログを理由に「提出原稿が掲載基準を満たしていない」と言われることを防ぐためでした。

事情は分かったが…

その方の対応は迅速でした。相談した週の金曜にメールがあり、週明けの月曜に再びミーティングをすることになりました。

その間、たったの4日。

期待に胸が膨らみました。

しかし週明け11月6日のミーティングは、わずか20分足らずで終了しました。なぜ原稿が掲載されていないかの説明だけで、連載や原稿が今後どのようになるのかについての情報がなかったからです。

掲載されていない理由は、「原稿を一読したら宣伝臭かったので、そのフィードバックをしようと考えたが、多忙を極めるうちにタイミングを失った」ことと、「そもそも今後の日経ビジネスの編集方針と合ってないから」とのこと。

宣伝臭いかどうかは私では判断できませんので、その時点で共有した原稿を公開します。外部からのアクセスが6月16日に1回、6月22日に2回ありますので、このバージョンで間違いないと思います。なお、その後に連載の4回目や5回目用の原稿を書く度に、少しずつ修正しましたので、最新版もあわせて公開します。

閑話休題。

私としては、理由にはそこまで興味がなく、原稿が載るのか載らないのかが一番の関心です。掲載されないのであれば、他のメディアに掲載していただくことや、ブログに掲載することなどを考えたいためです。

そこで私からは以下の3つのうち、どれかを決めてもらえるようにお願いをしました。

  1. 連載の継続(執筆済み原稿の掲載)
  2. 連載の終了(第3回目の記事で終わり)。あわせて経緯の詳細を掲載<
  3. 連載の打ち切り。ただし経緯の詳細を掲載
  4. それ以外(日経ビジネスからの逆提案)

もともと伝えたいことがあり、就職時の志望媒体だった日経ビジネスに連載として掲載されることは、連載が半年、中断していたにしても、もっとも「嬉しい」ことなので、優先度のトップです。

しかし編集部から何のアクションもないことから、できれば、もう掲載したくないというのが本音なのも分かります。ですので、連載の終了や打ち切りという通告が来ることは見えています。

なので、せめてもの抵抗ということで「終了や打ち切りの際は、どうして連載が中途半端なところで終わってしまったのか、経緯を掲載してほしい」とリクエストしました。

これには理由があります。

連載が更新されないのを見て「原稿を落とした」という誤解を発生させたまま残したくないためです。確かに状況証拠的には「原稿を落とした」というのは有り得る話です。実際、裏を取らずに「原稿を落としたんですよね?」と尋ねてくる人がいます。

実は20年ほど前にも、こうした「状況証拠」で、ちょっとした噂を立てられたことがあります。

それは「関は、社費留学をしたのに、留学費用を返さずに辞めた」というものです。

実際には約1000万円を全額返済したにも関わらず、退職後の日経BP社内では「あいつは一銭も返さず辞めたケシカランやつだ」と、複数の方に言われていたようです。

当時は、そんな噂を聞くと、噂の当人に連絡して会食に誘いました。そして、話の流れの中で「留学費用を返しているので生活が厳しい」ということを説明していました(そうすると、80%ぐらいのケースで、先方は会食を奢ってくれ、さらにその後に社内で噂を消す方向で動いてくれていたようです)。

リアルでのコミュニケーションが有効に働く良い事例でしょう。

ところが現在、私は米国ニューヨークに住んでおり、ほとんどが日本居住と思われる、本連載の読者の方にリアルでお会いする機会はほとんどありません。

ですので、もぐらたたきのように、噂にあわせてお会いする、という手段が取れません。

なので、連載記事が更新されていない理由についても、その連載を読む方がちゃんと知ることができるような形で、知っていただきたいと考えているわけです。

しかし、冒頭に書いたように、連載がどうなるかどころか、音信不通の状態が1か月になりました。

なので、せめて私のブログやソーシャルメディアを読んでくれている方には、事情を知っていただこうと思い、このブログを更新した次第です。

追記

その後、担当者を変更していただき、無事に全5回の記事を公開することができました。ご対応いただいた関係者の皆さまに、改めてお礼申し上げます。