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関 信浩が2002年から書き続けるブログ。ソーシャルメディア黎明期の日本や米国の話題を、元・記者という視点と、スタートアップ企業の経営者というインサイダーの立場を駆使して、さまざまな切り口で執筆しています

先日、私の周りのソーシャルメディアで「IT業界内部資料で明らかになった、Big Techのサラリー、シリコンヴァレーの一流IT企業12社が支払う給与額は…?」という記事が話題になっていました。やっぱり給料の話題は、みなさん関心があるのですね。

「ソースは?」というコメントもあったのですが、この記事にはソースは掲載されていません。

そこでサクッと調べてみたところ、2022年の外国人の最高年俸は、Googleが174万ドル、Metaが159万ドルでした。2億円超…

さて、上記の記事では、外国人向けの代表的な就労ビザであるH-1Bで申請された給与額をもとにしているので、そのデータを使った独自記事なのかと思ったのですが、調べたら元ネタ(というかほぼ全文と写真が転載されているが出所が書いてない…)は今年8月に公開されたBusiness Insiderの独自調査記事のようでした(Yahoo! Financeにも転載されていました)。

米国のビザの仕組みでは、外国人労働者が安い賃金で就労し、米国人の仕事を奪わないように、ビザ申請者の職種や勤務地にあった適切な賃金を支払わないとビザが出ない仕組みになっています(2020年に「米国の就労ビザ(H-1B)の発給厳格化と、職種別賃金、そしてオフィス立地の話」という記事で、その仕組みを説明しました)。

記事を書いた2020年時点での話なので、いまは変わっている可能性がありますが、例えばサンフランシスコよりサンノゼの方が、CEOの給与は高い、などの興味深い発見があります(スタートアップはサンフランシスコが多く、南のサンノゼは成長して大きなオフィスが必要になったテック企業が多い、などの理由がありそうです)。

テック企業が外国人就労者に支払った最高年俸とその職種を取り上げた記事「The Highest-Paid H-1B Workers at Google, Other Tech Giants」を読むと、2022年は100万ドル(約1億5000万円)超のH-1Bの申請が、GoogleとMetaからあったことが分かります。

CompanyRoleSalaryLocation
GoogleSurvey Researcher$1,744,000Mountain View, CA
MetaProduct Analytics Manager$1,588,670Seattle, WA
AppleSoftware Development Engineer Director$348,700Cupertino, CA
TwitterSenior Staff Software Engineer$332,000San Francisco, CA
AmazonDirector, Software Development$320,000Jersey City, NJ

出所: The Highest-Paid H-1B Workers at Google, Other Tech Giants

興味深いのは、「Role(役職)」を見ると、「Survey Researcher」や「Product Analytics Manager」といった、一見すると、あまり職位が高くない役職で申請されていることです。これは、H-1Bではその役職にあった賃金かどうかを、職歴などから決めるのですが、下位の役職でビザを申請した方が賃金を抑えられるので、そのあたりを考えた結果ではないかと想像します(150万ドル以上を支払うのに、賃金を抑えるという発想が出るのは、少し笑ってしまうかもしれませんが、移民弁護士はそのように考えると想像します)。

個人的に興味深かったのは、申請地です。上記の5社のうち、MetaとAmazonの申請地は、本社所在地ではありません。

GoogleとMetaの2人が、それぞれ誰なのかを想像してみるのも面白いかもしれませんね。